複層ボーダー植栽工法の概要

複層ボーダー植栽工法とは、主として地被類系植物を植え付け、繁茂させることにより、
@雑草の抑制、
A土壌浸食の防止、
B生態系全体の保全、
C景観形成などの機能を発揮する工法です。

特に、雑草抑制は省力的で低コストな維持管理を可能にした画期的な工法です。
複層ボーダー植栽工法の重要なポイントは、植物の混植です。同じ場所に数種類の
植物をランダムに植えることにより、以下のようなメリットが発生します。

1)雑草の抑制の向上
多種宿根植栽によって、安定した被覆を早期に確保することにより、
雑草の繁茂に対応することができます。また、被覆完了後は、雑草の育成に
困難な状況を植栽によって、作り出すため、雑草抑制機能を周年的に発揮させることがでます。
 以上のことから、従来の維持管理(除草作業、防虫作業等)が軽減されて、
コストの低減になります。

2)土壌浸食の防止
 年間を通して、植栽による地表面を覆うことのよって、風雨等による土壌の浸食を防止して、
地表面の安定と周辺環境へ影響を防止します。さらに、高自給養分蓄積率の高い植物を
用いることから、多年に渡り生育するめ、植栽地の耕転撹拌が不必要となります。

3)生態系全体の抑制
 単一の種類からなる植生は、病気や害虫が発生しやすく、またその被害も大きくなり
やすいと言われています。
 複層ボーダー工法は、植物を混植することにより、植物同士互いにバランスを
とりあう間隙干渉効果により、土壌においてもバクテリアや微生物・昆虫も生存できる
環境を作り出し、土壌を良好な状態に保持することができます。
 草花類は、一つ一つのデータをもとに種類を選択し、それらの持つ特性を踏まえて、
バランス良く混植されることから、病虫害の発生率も低下し、農薬の散布もほとんど
不必要となります。

4)景観形成
 植栽植物の枯れ葉が飛散せず、その場で土壌に養分として、還元される植物を
選定することにより、周辺景観に配慮しています。
 また、景観を複数の植物の混植によって、変化させることができます。
地被類は、景観的な華やかさに欠けるるが、ほかの植物と混植すれば変化を
与えることができます。地被類と球根・宿根・灌木など高さ50p前後の花物を混植すると、
地被類がこれらの育成を妨害することなく、花などが枯れれば再び地被類で覆われます。
植栽により景観が形成されることにより、ゴミの不法投棄の低減効果や人に優しい空間の
演出等の目に見えない心理的効果も期待できます。

5)施工の地域性
 複層ボーダー植栽工法は、生態データを基に気象条件、立地条件等の制限への
対応が可能なため、様々な地域等において、施工ができます。
すなわち、複層ボーダー植栽工法による植栽は、”地域にとらわれず、
気象条件にも影響されにくい、利便性の高い有効な工法”であるといえます。

施工(平成12年3月)



植物の植え付け完了
(植物面積 約50%)

茶色い部分は、バーク材
(樹皮を細断した物)で、
保水・保温等役割を果たします。
(バーク面積 約50%)
3ヵ月後(平成12年6月)







植物の繁茂と花の開花が始ました。
6ヵ月後(平成12年9月)





ほぼ完成形に近い状態になります。
被覆率約80%以上となり、
雑草の繁茂が抑制されます。
夏に開花する花が満開状態となります。
(6月から11月頃まで)